山形なのに岩手?
母から「山形村へ行こう」と提案され、てっきり山形県だと思い込んでいたのですが、よくよく調べてみるとそこは岩手県の山形村でした。(現在は「あまちゃん」の舞台の久慈市と合併し、久慈市山形町に)
そもそもは、ゲストハウスちゃぶだいがオープンする前にあまり旅行をしたことがない母と旅行に行きたいと思ったのが始まり。
弟がニューヨークに住んでいるのでそこへ母を連れて行こうと思っていたのですが、私が妊娠したことによりニューヨークは中止に・・・(往復航空券代は戻らず!!)。
電車で行ける場所を検討していたとき、母が山形村の特産である短角牛の山上げツアーを見つけ参加することになりました。
先に断っておくと、今回のブログはゲストハウスの話ではなく「牛」の話になりそうです。
私は所得の関係上牛肉を買うことはほとんどありませんが、牛が肉になるまでのこと、知らなかったことがたくさんあったので伝えたいと思いました。
短角牛のはなし。
そもそも「和牛」とは、黒毛和牛、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種のみで、その中でも95%は黒毛和牛だそう。霜降り系のヤツですね。
「国産牛」は、オスで生まれたホルスタインや交雑種を指すそうです。
今回見に行った短角牛は岩手・青森・秋田・北海道を中心に飼育されている牛で、今の時期から放牧され冬は里の牛舎で過ごす飼育方式が一般的です。
私が訪ねた牧場は60ヘクタールに60組の母子の牛と1頭の優秀な種牛が放たれ、放牧期間で自然交配を行います。(黒毛和牛はほぼ100%人工授精)
面白いのは、オスにとってハーレムかと思いきやメスたちは「ソノとき」しかオスと仲良くしたがらずオスは結構孤独なのだとか。
しかも、なかなか種がつかないと交代させられることもあり、放牧時1トンほどある体重は里へ下りる頃には800キロくらいまで減るそうで、かなりの過酷労働なのだと想像できますね。精神的プレッシャーもあるのでしょうか(;^_^
今回はまさに放牧される瞬間を間近で見ることができ、牛たちが嬉しそうに走っていく姿がとても印象的でした。
子牛がはしゃぐのはわかる気がしますが、母牛も走り回ってしまい放牧からしばらくは母子がバラバラ笑。
落ち着いてくると、母が子を呼ぶ声がたくさん聞こえてきました。
牛たちは群れて行動しているように見えましたが、その中でもやっぱり「ボス」がいます。
そして一度勝負がつくと二度と歯向かわないオスに対し、メスは何度もねちっこく挑戦することがあるそうです。メスのほうが根に持つタイプなんだね、、人間と似てる?
ちなみに山形村では短角牛の闘牛も行われていますが、オスが同じ相手と何度も対戦できるように必ず引き分けで終わらせるのだとか。
子牛のじゃれあいを見て去勢する前に闘牛にする牛を選別し、山形村で優秀だった牛は新潟や沖縄へ買われていくそうです。
夏の間、広い牧場を思いっきり駆け回った子牛は冬に牛舎で肥育され22~25ヶ月で出荷されます。
母牛は2月~3月頃に出産し、夏に再び放牧されます。
夜には生産者も交えてのBBQでしたが(BBQでビールが飲めないなんて!)サシが少ない赤身のお肉で脂も臭くなく、もうそこまでジューシー肉汁を求めない年齢になった私的にはとってもおいしかった!
ほとんどがひき肉になってしまう経産牛のお肉も柔らかくて、このまま流通させても十分だと思うけれど、どうしても脂身が黄色っぽくなってしまい鮮度が落ちていると勘違いされてしまうとのこと。なんか、そういうのってうまく伝えられないんですかねぇ。
また、この日出会った生産者の方々は畜産業の飼料自給率が国全体で約25%といわれる中、国産飼料のみで飼育しています。
それを可能にするために遊休耕作地をデントコーン畑にしたり、また、福島の原発事故に伴う除染作業があったりと色々な挑戦や苦労をされていますが、それを乗り越えてしまう高い志しを持った方々でその姿勢がまたカッコいい。
これからも続けてほしい!けれどそんなにたくさんは買えないから、ちょっと畑違いだけどせめてここで伝えるくらいのことができればと思ったのです。
とはいえ、なかなか見かけないお肉だと思うので、せめて私たちの食の見えないところで起きていること、頑張っている人がいることを心の片隅にとどめていただけたらいいなと思っています。
会いたい人がいるということ。
同じツアーに参加した人の中で何年も前から続けて参加している人が何人かいらっしゃいました。
中には50回以上山形村を訪れているという方も!
そこには山菜が取れる、短角牛を応援したい、大自然に触れたいなど色々な理由があるのでしょうが、皆さんに共通していたのは会いたい人がいることだと思いました。
生産者、役場の方、農協の方、みなさんとても暖かく迎えてくれました。
そしてみなさんそれぞれの立場で自分の仕事やこの地域に対して誇りと愛を持っていることがよく伝わりました。
きっとそういうことに共感してついつい何度も足を運びたくなってしまうのだろうなぁと感じました。
何度も訪れたくなる場所にするための大きなヒントを得た気がします。
さぁ、ちょっと話がズレた回になりましたがここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
肝心のゲストハウスの進行状況はというと、スローリーではありますが一歩一歩オープンに向けて動いています。
来月こそは大きなお知らせができるかな!
どうぞよろしくお願い致します!(^^)!